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IX 迷宮 / The Labyrinth
p.128 - p.184
膨大な数の建築物の引用及び設備については後回しにしたいと思います。


epigraph: ヴェルギリウス / Publius Vergilius Maro [固有名詞(人名・実在)]
古代ローマの詩人。『牧歌』『農耕詞』『アエネイス』など。ヨーロッパ文学・ラテン文学の最重要人物。古典中の古典のそのまた父のような人。『神曲』では理性の象徴として登場し、地獄と煉獄の案内役を努める。凄惨な光景の中、毅然とした態度で弱気なダンテを導いていく彼に惚れたのは私だけではあるまい。地獄付近の森で出現直後、ダンテから「私は麗しい文体をただあなただけから学び取ったのです」と熱烈な賞賛を受けたり、煉獄でヴェルギリウスを心底尊敬するダンテの友人が現れたりと、随所で褒め称えられる。
ローマ建国を詠った『アエネイス』には、主人公アイネイアスが盲目の父アンキセスを背負って河を渡るシーンがある。クーマエの巫女が登場するのもこの詩である。
Wikipedia‐ヴェルギリウス

epigraph: アスケンシウス / Ascensius (1462-1535) [固有名詞(人名・実在)]
本名ジョス・バード(Joss Bade)。印刷工。バディウス・アスケンシウスというのは屋号のようなものらしい。フランス南東部リヨンの印刷業者ヨハン・トレヒゼルのもとで印刷業に携わったのち、パリで自身の印刷所を開く。 ラテン学者でもあり、古代ローマの著作家の作品に序文・解説・注釈をつけたものを出版したりもしている。出版した著作物に、ティトゥス・リウィウス『ローマ建国史』、ジョン・メージャー『イングランドとスコットランド両国の年代記』など。 プリンターズ・マークには、手引き印刷機を使って書物を印刷している彼の工房が描かれている。
名前からしててっきり古代ギリシアかローマあたりの人だと思ったら、割と最近の人だった……
古書への扉 No.2 人文主義の印刷出版社 アスケンジウス雄松堂書店

epigraph: ニコラス・トレヴェット / Nicholas Trivet(本人が書くにはTrevet)(1257‐1334) [固有名詞(人名・実在)]
英国の歴史学者。オックスフォードで学び、後に同大学で教壇にも立つ。かなりの量に上る神学と歴史学の著作、古典作品への注釈、セネカの研究で知られる。
Nicholas Trivet‐Wikipedia(en)



 p.128
:地対空緊急コード"Unable to proceed." p.666の表を参照。p.57「進入不可」
 p.130
図面(スケマティック):schematic / ばらばらに(スキズマティック):schismatic

英国のロングリート館:Longleat House [固有名詞(実在・地名)]
イングランド南部ウィルトシャーにあるカントリー・ハウス。代表的なるエリザベス朝建築として知られる。3.6平方キロメートルになる庭園は有名な造園ケイパビリティ・ブラウンの手によるもの。生垣による迷路もある。現在の所有者は第7代バス侯爵アレクサンダー・シン。
カントリー・ハウスとは、領地に於ける貴族や地主達の住まい。領主裁判や貴族の集まりの場としても使用された。女王が避暑に赴くこともあったので、主たちは館の整備や装飾に熱心だった。 もとは中世の荘園制に基礎を置いたマナー・ハウスの変化したものである。産業革命以降は維持の為に多くの人を雇うことが難しくなり、その数は減少を辿った。大戦中に兵舎として用いられた際も、終戦後も、ろくな手入れをされない場合が多かった。貴族達が生活の為に手放したり解体したり(!)した館のことを思うと切ない。
維持費の為に建物が一般公開されるようになったのは、ロングリート・ハウスが初めて。邸内にはサファリパークが設けられており、そこを舞台として動物番組が製作されるほどである。
ロングリート‐Wikipedia
Longleat(公式サイト)
Longleat House St.Aubins (音楽が鳴ります。音量にご注意ください。)

:地対空緊急コード"Indicate direction to proceed." p.666の表を参照。p.619、ザンパノの1991年5月31日の日記の末尾にも使用されている。
:地対空緊急コード"Not understood." p.666の表を参照。
 p.132
テレビン油:terebinthina [普通名詞・ポルトガル語]
松脂油、テレメン油とも。針葉樹、ことに種々の松の材木を水蒸気で蒸留して得られる揮発性の製油。 各種溶剤およびワニス・ペイントの製造原料になる。

パヴィーアのサン・ミケーレ・マジョレ教会:Pavia, Basilica di San Michele [固有名詞(実在・地名)]
イタリアのロンバルディア州にある、12世紀に建てられたロマネスク様式の教会。ファサード(教会の正面部)が砂岩で作られている。内部には12世紀頃の貴重なキリスト教美術品が飾られている。
パヴィーアロンバルディア州公式ホームページ
パヴィアのロマネスク(サン・ミケーレ教会、サン・ピエトロ教会)役所工事@道玄坂

ここでは珍しくミノタウロスが人間の頭と牛の体で描かれている: 『神曲』の地獄篇でダンテが書いているミノタウロスは、人間の頭に牛の体を持っている。……という説明の為に本をめくってみたところ、文中にはそのような記述が見当たらない。ウィリアム・ブレイクによる挿画にも、注釈にも、ボルヘスの著作にも、確かにそう書かれていたのだが……。

オウィディウス『変形譚』:Publius Ovidius Naso / Metamorphosen
アウグストゥス帝時代のローマの詩人(紀元前43‐紀元後17)。詩作に『恋愛術』『祭歴』『哀傷辞』など。官能的で優雅な形式美で知られる。晩年には黒海沿岸のコンスタンツァに追放された。 『変形譚』(メタモルフォセス)は変身物語、転身譚ともいい、ギリシア・ローマ神話で人が動植物に変身するエピソードを集めたもの。
 P.133
ジャック・デリダ『エクリチュールと差異』「人文科学の言語表現における構造と記号とゲーム」: エクリチュールはフランス語の同士で「書く」の意。

デルフォイ:Δελφοι [固有名詞(地名・実在)]
古代ギリシアで世界の中心として考えられた土地。世界遺産。中心にはかのオイディプスもお世話になったアポロンの神託がある。地中から立ち上る蒸気でトランス状態に入った巫女が託宣を下す。(とかいうと、古代ギリシア人に怒られますね)
デルポイ‐Wikipedia

カピトリヌスの丘:Capitolinus [固有名詞(実在・地名)]
ローマの七丘の中で最も高い丘。ユピテル、ユノー、ミネルヴァが国神として祭られていた、ローマの中心地。 現在はローマ市庁舎が建っている。
カンピドリオ‐Wikipedia
カピトリヌス丘の地図、カピトリヌス丘両側にそびえる岩山の眺めピラネージ画像データベース

カーバ神殿:Ka'aba [固有名詞(地名・実在)]
メッカにあるイスラム教の総本山。長さ12m、奥行き10m、高さ15mの石が、黄金でクルアーンを書き付けた黒い布で覆われている。個人的には非常にストイックで美しいフォルムをしていると思う。
世界中に12億から13億居るというムスリムは、日に20分x五回この神殿に向かって礼拝を行う。ムスリムの寺院(モスク)には祭壇の類は一切なく、カーバ神殿のある方角の壁にミフラープという凹みがあるだけである。 そういえば、エアーズロックも世界の臍でしたね。
カアバ‐Wikipedia
 p.134
クリスチャン・ノルベルグ=シュルツ『実存・空間・建築』: [固有名詞(人名・実在)、書籍名(実在)]
Navidson Records chapter VI epigraph
『実存・空間・建築』‐エキサイト・ブックス
松岡正剛の千夜千冊 第926夜『ゲニウス・ロキ』クリスチャン・ノルベルグ=シュルツ

ミルチア・エリアーデ『比較宗教のパターン』:Mircea Eliade [固有名詞(人名・実在)、書籍名(実在)]
ルーマニアの宗教学者。幻想的な小説も作品集が出るほど物している。 1907年生まれ、1986年没。宗教学の基礎的な学者だから、もっともっと大昔の人だと思っていた。
ミルチャ・エリアーデ‐Wikipedia

リシツキー:El Lisitskii (1890‐1941)[固有名詞(人名・実在)]
ロシア構成主義のデザイナー、建築、写真家。絵本のブックデザインを多く手がける。
エル・リシツキー‐Wikipedia
本の構成者 エル・リシツキー(展覧会ウェブサイト)
Про два квадрата(二つの四角について)ロシア絵本を探して

エッシャー:Maurits Cornelis Escher [固有名詞(人物・実在)]
マウリッツ・コルネリウス・エッシャー(1898‐1972)。幾何学的な騙し絵で有名な画。2006年11月から2007年1月に日本で開かれた展覧会には、18万人を超える人が訪れた。地獄の様相だったと聞く。
マウリッツ・エッシャー‐Wikipedia
M.C.エッシャー幻想資料館
エッシャーのスクリーンセーバー(Mac専用)
余談。『ジョジョの奇妙な冒険』第四部のエニグマ戦では、随所にエッシャー風の白黒部分が入れ替わる絵が出てくる。独自の絵にあの手法を組み込める人が居るとは思わなかった。
 p.135
サンヴィクトールのフーゴー:Hugues de Saint-Victor [固有名詞(人物・実在)]
1096年生まれ、1141年没のスコラ学者。ザクセン地方に生まれ、後にパリのサン・ヴィクトール修道院の院長として、サン・ヴィクトール学派を創始する。主な著書は『ディダスカリコン(学習論)』。
『2007年、ユマニスム復興への期待』の反照toxandoriaの日記、アートと社会
 p.136
セネカ『道徳書簡』:Lucius Annaeus Seneca [固有名詞(人物・実在)、書籍(実在)]
ルキウス・アンナエウス・セネカ。古代ローマの政治、思想、詩人。皇帝ネロの庭教師を勤めるが、後にネロ暗殺の陰謀に加担したものとして、皇帝じきじきの命で自害。余談:FESTINA LENTE!(フェスティーナー・レンテー)=「ゆっくりと急げ」。ラテン語の諺。
セネカHajime's Homepage
セネカ 道徳書簡集―倫理の手紙集‐エキサイトブックス

ポール・デマン『読書の寓意』:Paul de Man [固有名詞(人物・実在)、書籍(実在)]
ポール・ド・マンの誤り。1919年生まれ、1983年棒。ベルギー出身のアメリカの文学理論。元は工学や化学といったかなりの理系畑出身。
ポール・ド・マン‐Wikipedia
 p.137
トルストイ『戦争と平和』:Navidson Records chapter IV
 p.139
:地対空緊急コード"Require compass and map." p.666の表を参照。
 p.140
ジョン・アップダイク:John Updike [固有名詞(人物・実在)]
1932年生まれ。アメリカの作・詩人。 「ウサギ」ことハリー・アングストロームを主人公とした四部作の中の、 金持になったウサギ』でピュリッツァー賞、『さようならウサギ』でピュリッツァー賞と全米批評家協会賞を受賞している。

アンドレア・パラディオ:Andrea Palladio [固有名詞(人物・実在)]
1508年生まれ、1580年没。イタリア後期ルネサンスの建築。丹精厳格な古典形式の名作を数多く残した。 著書に『建築四書』。 ついでに、ヴィトルヴィウス(Marcus Vitruvius Pollio)はローマの建築、で、著書『建築十書』がルネサンス以降の建築に大きな影響を及ぼした。
 p.141
ヴィラ・バデール、ヴィラ・エーモ、ヴィラ・ラゴーナ、ヴィラ・ポイアナ、 そしてもちろんヴィラ・ゼーノなどだ:ヴィラとは郊外や田舎にある別荘のこと。
 p.142
ル・コルビュジエ:Le Corbusier [固有名詞(人名・実在)]
スイス生まれ、フランスで主に活躍した建築で、元は画。近代建築の三大巨匠の一人。(あとの二人はフランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエ。) 東京にある国立西洋美術館の基本設計も彼の手によるものである。
ル・コルビュジエ アーカイブGalerie Taisei
ル・コルビュジエ展森美術館
フォトブログbears(有名建築の作品を写真や動画で紹介)
ヴィラ・サヴォイ:
ドミノ・ハウス: ル・コルビュジエの提唱したドミノシステムに基づいて作られた?分かりません、推測です。
一応書いておくと、ドミノ・システムは建築の主要要素をスラブ、柱、階段の三つとするもの。後にル・コルビュジエは近代建築の五大原則として「ピロティ、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由な立面)」を提唱している。
 p.143
室温 華氏32度±8度:摂氏−4.4度〜4.4度
華氏32度は摂氏0度。
摂氏華氏換算表ノースカロライナの風
 p.145
ノスラー・パーティションの180グレイン弾:

『わたしは建築を凍れる音楽と読んでいる』:
ゲーテのこの云いまわしを、明治時代に来日したアーネスト・フェノロサが、奈良は薬師寺の三重塔に対して用いている。
奈良 薬師寺古都浪漫
建築教育 第一回・凍れる音楽株式会社 熊倉建築事務所

残念ながらそこには時と変化のあらゆるハーモニーが含まれているので、それを味わえるのは不死のものだけだ。:「もしわれわれが普通に授かる寿命よりもはるかに長い期間生きるとしたら、われわれの感覚の誘惑と反撥との組み合わせを一つ残らず体験しつくすことになるだろう。」ポール・ヴァレリー『書物雑感』、生田耕作訳、サバト館
 p.149
ボルネオのムル山系で発見されたサラワク洞窟:
ムル山の地下に広がる大小多数の鍾乳洞はムル洞窟群と呼ばれ、その長さは約300kmにも達する。夕刻に餌の虫を求めて数百万のコウモリが飛び立つ様子は、地元の人々に黒い龍と呼ばれている。
ムル山はマレーシア領内のボルネオ島、グヌン・ムル国立公園内にあり、 ユネスコの世界遺産に登録されている。周囲のジャングルには67種類の哺乳類、281種類の蝶、262種類の野鳥が生息している。
グヌン・ムル国立公園‐Wikipedia
NHK世界遺産の旅 グヌン・ムル国立公園
ボルネオマレーシア政府観光局公式サイト



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