| p.23 |
|
ある偉大なフィレンツェ人: [固有名詞の婉曲表現] ダンテのこと。ダンテは政治的理由でフィレンツェを追放されてラヴェンナで没している。フィレンツェは遺体の返却を求めているとか。chapter I 『神曲』も参照のこと。 ホメロスのライバル: [固有名詞の婉曲表現] ヴェルギリウスのこと。(参照→Chapter IX epigraph)ローマ建国の伝説を書いた『アエネイス』、『農耕詩』『牧歌』などが主な作品。『アエネイアス』はダンテが詩作の手本としたもので、神曲地獄篇第1歌でヴェルギリウスに出合った際にその事を告白している。煉獄篇25歌で出てくるスターツィオという詩人もヴェルギリウスを熱烈に尊敬しており、ヴェルギリウスが伏せておけと無言でダンテを圧しているにも関わらず、ダンテがうっかり白状してしまうという微笑ましいシーンもある。要はヴェルギリウスは歴史的な詩人ホメロスと肩を並べるほどの詩聖だということ。 サイト作成の為に読み直していて此処に差し掛かったときは笑った。 地獄篇第3歌、つまり救済の為に地獄巡りをすることが決定して早々に、ダンテはかつて地獄めぐりをしたパウロ(使徒の一人。キリスト教の布教に貢献した)やキリストなどと自分を比べて、旅を完遂できはしないと怖気づく。そこでヴェルギリウスが彼の弱気を一括するのである。 |
| p.24 |
|
荘厳(サブライム):sublime [形容詞・英語] 何故此処でわざわざルビが振ってあるのかは不明。ミルトンの英文をサブライム・スタイルと云うそうだが…… ニューヨーク州ユーティカ製 C.M.クラップ社: |
| p.25 |
|
天上の注目: ベアトリーチェがダンテの危機(正しい道を外れて、迷妄の中に居ること)を察知し、彼の魂を再び救済の道へ導くため、ヴェルギリウスに地獄・煉獄の案内を頼んだ事。ダンテは生身のまま地獄や煉獄など死後の世界を旅するので、出くわす霊に頻繁に「なぜ生身の人間が此処に居るのだ」と問い詰められる。その際には常に神の意向によってダンテが旅をしているのだという説明がなされる。 黒内障の案内人: [固有名詞の婉曲表現] 文脈から云うとヴェルギリウスのことになる。(いち神曲ファンとして、あの頼もしいヴェルギリウスを莫迦にされた気分である・笑) →J-Medical-黒内障(症) ヴェルギリウス自身についてはよく知らないのだが、眼疾持ちだったのだろうか?ジョン・ミルトンは蝋燭の光のみを頼りに政治パンフレットの執筆を続けた為(もしくは過労の為)、黒内障を煩った。 ちなみに、ホメロスは伝記の類が一切存在せず、実在すら立証されていない謎の詩人(今のところ最もメジャーなのは、複数の詩人達だったのだろうという説)だが、何故か盲目であったという性質が付与されている。ボルヘスによれば、それは詩がなによりも音楽的であるということの象徴だとか。 |
| p.27 |
|
ナルシズム:narcissism [普通名詞(心理学)] (ナルシシズムとどちらが正しいのだろうか……)一般的な用法では自己に対する過度の好評価、自惚れを意味するが、本来は自己に対する気配りや感心といったニュアンスで、過度に有るのも問題だがなさ過ぎるのも問題である。 つまりこの場合は、ネイヴィッドソン夫妻が自分に対しての行動ばかりをしており、家族や息子達に対しての働きかけを欠き過ぎていたということ。 役割モデル: [普通名詞(心理学、社会学)] 自分の考え方や行動を、誰かのそれを参考として学ぶこと。両親や兄弟姉妹の場合もあるし、ミュージシャンやアイドルといった偶像的な存在の場合もある。また、両親が兄弟姉妹を叱るのを見て、自分はそうしないでおこうと思うといった「反面教師」的な学習もこれに含まれる。 |
| p.28 |
|
註31 私にはこの註の意味が分からない。 明朝体の註はザンパノによるものなのだが、彼が自分の名前を出してくるというのは…… |