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ペリカン:pelican

中世動物物語集のペリカン
現在図鑑で見かける水鳥とは別のものだと考えてよい。大きさはより小さく、体は黄色、時に緑色をしている。
母鳥は嘴と爪で子供を愛撫し、その熱意の余りに殺してしまう。三日後にやってきた父親は雛鳥の死を嘆き、自分の胸を爪で掻き毟る。その時に流れ落ちた彼の血は子供達を生き返らせた。
死者に生を与える血は聖餐と十字架を暗示していると考えられる。故に、『神曲』天国篇第25歌ではキリストを"nostro Pelicano(人類のペリカン)"と呼んでいる。

キリスト教に馴染みの無い人が「そこでいきなりペリカンをキリストにっすかwwww」と思われるかもしれないので記しておくと、『中世動物物語集』(他、大抵の動物物語集)は動物を用いたキリスト教の寓話集であり、動物の生態の紹介は全て宗教的・道徳的寓意として解釈されるべく行われている。三日後に父がやってきて子供が生き返る、という説明でも納得していただけるだろう。別にマリアは情熱の余りにイエスを殺してないじゃないか、という突っ込みはごもっともだが……

ジョン・アシュトンによると、これはペリカンではなく、エジプトに起源をもつハゲタカの話であり、実際にハゲタカはそのような行動をするという。

デュ・バルタス(16世紀フランスの詩人)の詩「慈悲深い鳥たち」より
ペリカンはといえば、いとけない雛が病気になると、
みずからの腹を裂いて、命の血を流し、
驚くべきやり方で、その血を雛に移し込む。
もし雛が、恐ろしい蛇に殺られているのを見たときは、
胸を裂いて、命の液を降り注ぐ。
それで雛達は体の熱を取り戻し、
母の死によって、新たな命を獲得するというわけだ。

ペリカン‐Wikipedia
ペリカン社 ジョニーが旅のときに持っていった万年筆のメーカー(ドイツ)
ペリカン カメラメーカー
ペリカン文書(映画)‐GOO映画


鯨:whale

■オラウス・マグヌス(16世紀ノルウェーの大僧正。博物学的な著作を幾つも残している)がかなりの量の情報を残している。
クジラの一種と思われる怪魚について
頭が四角で一面に棘があり、まわりには長く尖った角が、ひっくり返された木の根のように、いくつもついている。長さ10〜12キュービット(1キュービット=43〜53センチ)で真っ黒。目は、周囲8〜10キュービット以上もあり、瞳は1キュービットで赤く、暗い夜には、遠くに居る両氏には、萌えている火のように見える。ガチョウの羽に似た毛があごひげのように垂れている。この頭部にくらべれば、残りの部分は小さく、14〜15キュービットほどである。しかし、この怪クジラ一等で何隻もの船が沈む。
(後日図追加予定)

マッコウクジラ(フュセテル、プリスター、またはウェールプール)について
200キュービットもの非常に残酷なクジラ。ときどき海から身を出して大量の水柱を放ち、近くの船が沈没の危険に晒される。ヤツメウナギのような長く大きな丸い口をして、その口で食べ物や水を吸い込む。そして船の前あるいは後ろの甲板に体重をかけると、船は沈没する。
(後日図追加予定)

海水だけで危害を加えるのに満足せず、時には船をひっくり返して、背中や尾で叩く。このクジラは体中分厚い黒皮で覆われ、太い足のような長いヒレをもち、尾は股に分かれて15〜20フィートもの幅がある。その尾で船をからめ、捻じ曲げる。これから逃れるには戦争のラッパがいい。その鋭い音に耐えられないからだ。樽など、大きな容れ物を放り投げるのもよい。それによって進路を阻むだけでなく、ときにはマッコウクジラがそれと戯れることもある。あるいは強力な大砲を撃つ。その音は石や鉄の弾丸よりも効果がある。そうした弾丸は、その巨大な死亡に覆われた体を傷つけるとしても、ほんのすこしだけである。

■コンラート・ゲスナー(16世紀スイスの博物学者。近代のプリニウスとも称される。著書に『博物誌』など)による鯨のメモ
トロール(ドイツ語ではトォイフェルヴァール=「悪魔鯨」)
海上で眠り、船乗りが島と間違えて上陸し、錨を下ろしてもまだ眠っている。ただし、火をたいて料理を始めると目を覚ます。
これと同様の話が『船乗りシンドバッド』(アラビアンナイト)にも出てくる。一行が上陸した楽園のような島は、長い間眠り続けた鯨の背に砂が堆積し、植物が生えたもので、やはり背中で火をたかれると目を覚まして海中に潜る。船員は急いで船に戻るものの、遅れたものは鯨と共に海中へ沈んでしまった。

(以上、殆どをジョン・アシュトン著、高橋宣勝訳『奇怪動物百科』博品社より引用。実はまだまだまだまだ沢山説明があるので、後日追記予定。)

ギリシア動物物語集
娼妓(あそびめ)=「その足は死に下り、その歩は陰府(よみ)に趣く」聖書・箴言第5章5節

アングロサクソン動物物語集
悪魔と災いの象徴。『白鯨』でも同様の象徴的な意味が込められている(が、書評を読む限り「挑まれるべき神」といったほうが適切な気もする)。

くじら座:the Whale(天の赤道上にある正座)
くじら座‐Yahoo!きっず
くじら座‐Cielo Stellato 88星座完全ガイド

・whale:他動詞(米略式)……を強打する、鞭打つ

鯨のことなら何でも分かる!鯨ポータル・サイト
(財)日本鯨類研究所
Yahoo!カテゴリ クジラ
Devil May Cry 3(巨大な鯨「リヴァイアサン」の体内がステージになるミッションあり。その胃の中には船、石畳、外灯、バスといったものが飲み込まれており、嫉妬の罪で地獄に落ちた魂のモンスターがうようよしている。)


このページの基本的な情報はそもそも、晶文社から出版されているJ.L.ボルヘスの『幻獣物語』によって得られたものが殆どである。私はこの本を読んでいて、『中世動物物語集(フィシオログスorフィシオログス)』なるものが一冊の本として実在するのか、それとも語り継がれた伝承類の総称なのか、或いはボルヘス自信の博識が中世の寓意譚をそう呼んでいるだけなのかが分からず、不思議で仕方なかった。
随分時間が経って、とある書店で『フィシオログス』の邦訳を見つけた時はなんだかほっとした。


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