『紙葉の家』(2000)は著者マーク・Z・ダニエレブスキーによる処女長編小説である。Pantheon Booksから出版されたこの小説は既にネット上でカルト的ファンを増殖させていたが、2000年3月の発売以来瞬く間にベストセラーとなった。これには『ホエールズトゥからの手紙(ISBN 0375703764)』という小作品が付属している。 非凡なページレイアウトと様式によって、この小説の形式と構造はまったく自由なものになっている。("Ergodic literature"の項目を参照のこと) 豊富な脚注はしばしば脚注の脚注で成り立っている。テキストは普通でない注釈へとなめらかfrequentlyに流れていく。更に、この本の幾つかの章は、本文にたった数本の線があるだけだったり、各頁に二つだけの単語だったりと、奇妙な方法でアレンジされており、それはしばしば作られた(逆説的に)agoraphobic広場恐怖症的・claustrophobic閉所恐怖症的な効果、ないしはストーリー中の出来事の鏡写しであったりする。この小説はまた、精巧に作られた特殊な複合ナレーターでもあり、混乱と精巧な手法で満たされた各ストーリーに相互的な作用を果たしている。 『紙葉の家』は多数の評論家に「アカデミックな評論への風刺」そして「実存主義のホラー小説」と称されている。
1.1 ネイヴィッドソン記録 1.2 ジョニーの物語 1.3 ホエールズトゥからの手紙 2. 登場人物 2.1 ザンパノ 2.1.1 所属 2.2 ジョニー・トルーアント 2.3 ペラフィナ・H・リエーヴル 3. 様式 3.1 タイポグラフィー(印刷学) 3.1.1 色 3.2 タイトル 3.3 外国語 4. 作者に関しての疑問 4.1 本当の作者としてのペラフィナ 4.2 本当の著者としてのダニエレブスキー 4.3 他の矛盾と奇妙な関連 4.3.1 印刷と綴りの間違い 4.3.2 チェックマーク 4.3.3 つま先 4.3.4 カレンとしてのペラフィナ 4.3.5 ザンパノとペラフィナの関係 5. 神話への関連 5.1 ミノタウロス 5.2 オルフェウスとエウリュディケ 5.3 イグドラシル 6. 影響 『紙葉の家』のストーリーの最も印象的な形はホルヘ・ルイス・ボルヘスのアイデアにおいて明確に言い表されていると言っても過言では無いだろう。 ダニエレブスキーとボルヘスの作品の間には、重視される迷宮、そして存在の本質という多くの類似点が見受けられる。特筆すべきはボルヘスの作品『八岐の園』の一節である。『書物と迷宮はかつてひとつだった』。八岐の園は167の脚注を含んでいる。 ボルヘスの作品『トレーン、ウクバール、オルビス・ティルティウス』は私達の現実世界に介入する架空世界であり、これは『紙葉の家』でも探求されたテーマである。ボルヘスはまた、文学によって架空の存在を主題として機能させるということも試みた。ボルヘスはエッセイ『アル・ムターシムを求めて』で、彼の想像の中だけに存在する本について、『ハーバート・クエインのもう一つの著作』『ドンキホーテの作者、ピエール・メーナード』で、二人の架空の作者の著作について評論を記している。 7. その他の「家」 アッシュ・ツリ・レーンの家は合衆国の有名な「憑かれている」家と比較する事が出来る。 カリフォルニア州はサン・ジョーズにあるウインチェスター・ミステリー・ハウス。ここは何処にも辿り着かない廊下などを含む広い館である。幽霊が出るとも言われる。ダニエレブスキーは『紙葉の家』を書いている間カリフォルニアのバークレイからたったの一時間の所に住んでいたので、この家の存在は大いに特筆すべきである。 ワシントンのスプリング・グリーンに在るハウス・オン・ザ・ロックも同様の家である。 8. 付属書 9. リンク |